シンポジウム報告書

2010年02月18日

  1. 活動の概要
  2. 平成22年2月18日(木)13:15より、「すまいとまちのマネジメ ントシンポジウム」を開催した(於:住宅 金融支援機構すまい・るホール)。環境に配慮した、人々が安心して暮らせるすまい、まちが求められている。こうした中で、認定長期優良住宅も世の中に登場し、長期に良好なすまいをマネジメントする新しい局面を本格的に迎 えることとなった。住宅の長持ちは私たちにどのような意味をもたらすのか、すまいを長持ちさせるためにまちはどうあるべきか、すまいとまちをどのようにマネジメントしていけばよいのか。すまい、まちに係わっている研究者・実務家・行政の方々と一緒にこの課題を考えるという趣旨である。

  3. 活動内容(プログラム)
    • (1) 開会挨拶:(社)プレハブ建築協会 専務理事 菊田利春氏
    • (2) 来賓挨拶:国土交通省 住宅局 住宅生産課長 橋本公博氏
    • (3) 「すまいのマネジメント」:
      京都大学 工学部 名誉教授 巽 和夫氏

      すまいのマネジメントには「つくる」「つかう」の2つの側面があり、この2つの行為は複雑に入り組んでいる。その展開には、地域に根ざすすまい・まちづくり、木造住宅社会の再構築、「住み継ぎ」のシステム化、リフォームの新しい展開、すまいの価値を高めるマネジメントが必要である。

    • (4) 「住宅市街地等におけるエリアマネジメントとその担い手」:
      東京都市大学 都市生活学部 教授 小林重敬氏

      「持続可能性」「多様性」「創造性」をキーワードとする21世紀の新たな都市づくりのためにはこれまでの社会資本整備、公的資金に加え、社会関係資本構築:「エリアマネジメント」と志ある資金:「シードマネー」が必要である。エリアマネジメントは、「つくること」だけではなく「育てること」であり、行政主導ではなく住民・事業者・地権者等が主体的に進める「新たな公」が必要となる。人口減少社会の到来や多様な生活スタイルの希求により、住宅市街地においても新しい公共性とエリアマネジメントが求められている。

    • (5) 「すまいとまちのマネジメント 日本型HOAへの期待」:
      明海大学 不動産学部 教授 齊藤広子氏

      HOA(Homeowners Association)は、住民自らがまちの価値を上げていく仕組みである。 その10 の原則

      シンポジウムでの発表
      写真1. シンポジウムでの発表

      • ① é­…力的なまち
      • ② ç®¡ç†ã®ã—くみははじめから
      • ③ ç®¡ç†ã®è¨­å®šã¯äº‹æ¥­è€…
      • ④ ä½æ°‘主体のまち育て
      • ⑤ é­…力ある空間の維持、所有
      • ⑥ å»ºç¯‰ãƒ«ãƒ¼ãƒ«ã¨ã‚³ãƒ³ãƒˆãƒ­ãƒ¼ãƒ«
      • ⑦ å¿…要なサービスの提供
      • ⑧ å°‚門家が支援する
      • ⑨ è¡Œæ”¿ã¯é©åˆ‡ãªæ”¯æ´
      • ⑩ é©æ­£ãªæ‰€æœ‰ã¨ç®¡ç†æ–¹å¼ã®è¨­å®š

      は日本でも展開できる可能性がある。そのための開発事業者の役割は大きく、課題も多い。日本型HOA推進協議会ではその課題に応えるため、今までのノウハウ、実践を形にして提供していく。

    • (6) 「すまいとまちのマネジメントをさせたくなるデザイン」事例紹介:
      (有)アーバンセクション 代表 二瓶正史氏

      マネジメントしたくなる住宅地とは、景観や環境が良好であることはもちろん、家の前の「まち空間」が自分たちのまちの領域であることが感じられることが最重要である。どのようにして魅力的な「まち空間」を作り出せるか、多数の事例写真を見ながら考える。

    • (7) 「すまいとまちのマネジメントを応援する」:
      (独)住宅金融支援機構CS推進部技術支援グループ長 海野 敦氏

      すまい・まちへの支援の試みとして、住宅金融支援機構近畿支店では平成15~19年度に「まちなか住宅・関西プロジェクト」を実施した。これは関西のまちなかでの魅力ある住まいづくり、まちづくりを金融支援機構が認定・応援する仕組みである。まちなか住宅・関西プロジェクト委員会(委員長:巽和夫教授)を設置し助言を得ながら、まちなかの戸建て住宅団地を地域に根差したすまい・まちづくり担う存在として14団地を認定し、フラット35などで支援した。その事例を写真とともに紹介した。

    • (8) 閉会挨拶:(財)住宅生産振興財団 専務理事 松本 浩氏

    シンポジウム参加者総数は218名。今回は事業者を主な対象としたため、住宅業界関係者が8割を占めた。その他、国土交通省・東京都・茨城県などの官公庁関係者、大学関係者、報道関係者が参加した。プレハブ建築協会ホームページおよびJ-HOA 推進協議会ホームページや新聞紙上での告知により、少数ではあるが一般の方々の来場もあった。 アンケート結果では、多くの参加者より本シンポジウムが「大変参考になった」あるいは「参考になった」との感想を頂き、全般的に好評であった。すまい→まち→エリアマネジメントと進めたプログラム構成も評判がよく、どの講演も具体的で示唆に富んだ内容であったため、講演時間の短さを指摘する声も聞こえた。

  4. 活動の効果
  5. 参加者からは「HOA」あるいは「日本型HOA」という言葉を初めて知ったという声も聞かれ、日本型HOA協議会をアピールする機会として非常に有効なシンポジウムとなった。
    各先生方の講演からすまいとまちのマネジメントの重要性についても広く伝えることができ、今後の展開が期待されている。

  6. 今後の課題
  7. シンポジウムの様子
    写真2. シンポジウムの様子

    日本型HOA に関する継続的な啓蒙活動が必要である。今回のシンポジウムは主に事業者向けの開催となったが、より幅広く行政や一般のエンドユーザーに対する情報発信に努めていく必要がある。
    シンポジウムの定期的な開催のほか、ホームページやメールマガジンによる情報発信、勉強会の開催などを検討する。

posted by 日本型HOA(J-HOA)推進協議会 at 21:15 | お知らせ


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